台湾の原住民音楽、、、と来たら、なによりも先に、この方です。
黒沢隆朝(くろさわ たかとも)。
秋田に生まれ、東京音楽学校(現在の芸大)で山田耕筰らのもとで
学び、たくさんの童謡を手掛け、アジアの音楽を調査していた黒沢先生。
学び、たくさんの童謡を手掛け、アジアの音楽を調査していた黒沢先生。
いよいよ大々的な台湾原住民音楽のフィールドワークを、3カ月かけて、
ビクターの技師らと共に行うことになりました。時は、戦時下、1943年のことです。
この研究成果として発表された学説は、当時、大きな反響を呼び、そして、
なにより"聞ける"一級の資料、しかも台湾原住民を網羅する
なにより"聞ける"一級の資料、しかも台湾原住民を網羅する
(タオ=ヤミ族以外)一大記録が、ここに誕生することとなったのです。
SPにして26枚!!!
SPにして26枚!!!
しかし、この調査で録音された膨大な音源は、なんとたった1組だけを
本人の手元に残し、残りはすべて東京大空襲で消失。
本人の手元に残し、残りはすべて東京大空襲で消失。
(黒沢先生が自宅に持ち帰っていたため難を逃れましたが、
現在は、それも行方不明)
現在は、それも行方不明)
1951年、この残された1組から厳選された曲は12枚組のSP音源として
海外に持ち出されたのですが、その数たった5セット。30年後、さらに編集され
海外に持ち出されたのですが、その数たった5セット。30年後、さらに編集され
2枚組みのLP(「高砂族の音楽」)にもなりましたが、廃盤。
現地、台湾では幻のアルバムとなっていました。
現地、台湾では幻のアルバムとなっていました。
しかし、2000年、台湾の研究者2名が、この台湾原住民音楽の集大成を
復活させるプロジェクトをたちあげるのです。
復活させるプロジェクトをたちあげるのです。
そして、ここに、LPの収録曲、イギリスの図書館から発見された
12枚組みSP音源の一部、さらにアメリカから見つかった解説書、
地元の秋田から黒沢先生の台湾調査を語る肉声テープを
12枚組みSP音源の一部、さらにアメリカから見つかった解説書、
地元の秋田から黒沢先生の台湾調査を語る肉声テープを
3枚組CD、3ヶ国語解説、という素晴らしい形にまとめあげたのが
国立台湾大学が出版するコレです。
国立台湾大学が出版するコレです。
「戦時台湾的聲音」 王櫻芬、劉麒玉